
【事例紹介】ウィルグループで取り組んでいるウェルビーイングのための最新施策を3つ紹介します!

「実際、何やってるの?」
先日、日経新聞さんに私自身と当社のウェルビーイング活動について
取り上げていただきました。

社内外の多くの方が応援や励ましのメッセージをくださり、とてもうれしかったです。
また、「施策を相次ぎ打ち出したとあるけれど、実際、何やってるの?」
というご質問も方々からいただきました。
そこでこの記事では、社外秘資料をいくつか初出ししつつ、
人材開発の観点で行っている施策の中から最新のものを3つお話ししてみたいと思います。
自己紹介はこちらでさせていただきます。
①マネージャー向け「Well-being & Coaching トレーニング」
「ウェルビーイングの学習は大事。でもなんだか、大学の一般教養みたい。
本音を言うと、ビジネスですぐに役立つ何かを学びたい。」
2019年からのべ1200人以上の社員とウェルビーイングについて学んできて、
複数の社員からそんな声をいただいたのが2021年頃だったと思います。
そういうプログラムは作れるだろうか?
そのときにひらめいたのが、
ウェルビーイングと同時にコーチングを学んだらいいんじゃないか!?
ということでした。
私自身、コーチングを学んでウェルビーイングがずいぶんと変わった
という経験があったからです。
私は、ウェルビーイングとは、
自分にとってよい人生とは何か、その問いに向き合いながら、
そういう人生を生きる(育てる)ところに感じ始めるものだと考えています。
一方、コーチングは、コーチングの受け手にとってよい人生とは何か、
その問いに受け手とコーチが力をあわせて向き合い続け、
その人生を実現していく営みです。
共通点は「当人にとってよい人生とは何か?」を探求すること。
つまり、コーチングの視点を育てることができれば、
自分のウェルビーイングを考える(そして実現する)ことに役立つのではないか?
しかもコーチングは、営業や1on1やマネジメントなどの日常業務でも役立つだろう!
そこで2021年、「Well-being & Coaching トレーニング」を開発しました。
アップデートを重ね続け、2025年現在、マネージャー向けのトレーニングは
1回2時間、全4回(1回/月)で取り組んでいます。
ポイントは、
【事前】課題図書を読んで知識の底上げをする(参加者同士の共通認識を育てる)
【事中】サマリを担当者が発表し、該当範囲に関する自身の課題を対話のテーマとして提起、参加者全員で対話する
【事後】対話での学習や気づきを自身の現場や人生で実践する
このサイクルを4回続ける(1回/月)
です。
課題図書とは、私が2022年~2023年にかけてパラレルワークでつくった5冊の本のうち
・ 『最高の未来はウェルビーイングから始まる』
・ 『なぜコーチングはウェルビーイングに効くのか?』
を活用しています。
*実際に使っている電子書籍の一部を社外向けにも公開します。
では、そういう学習に価値や効果はあるのでしょうか?
事前事後の認識の変化をアンケートで確認するとともに「オックスフォード幸福度調査」を取り入れ
全4回の講座で参加者の幸福度(ウェルビーイング)が変化するのかも確認しました。
結果、
①ウェルビーイングへの理解度
②ウェルビーイングへの共感度
③ウェルビーイングであるための実践度(自分のため)
④ウェルビーイングへの当事者意識(チームのため)
⑤ウェルビーイング実感
⑥オックスフォード幸福度調査
全てが向上していることがわかりました。
*①~④
参加前を「4」として、参加後に感じる自身の変化を1~7段階で回答、
5→6→7の順で一層高まっていることを表します。
*⑤「ウェルビーイング実感」
受講前に比べて「上がった」「変わらない」「下がった」の3択から選択。
*⑥「オックスフォード幸福度調査」
オックスフォード・ブルックス大学(イギリス)のマイケル・アーガイルとピーター・ヒルズが開発。
全29問、合計点の最低が29点、最高が174点。
合計点の比較では変化の程度がわかりにくいので、伸長率を出しています。
このような結果から、個人のウェルビーイングを高めるためにどのような学習が役に立つのか、
その手ごたえを感じ始めています。
次のステップは、そのような個人がウェルビーイングをどのように維持・向上させていくのか、
あるいはきっと訪れるであろう「低下」とどのように向き合い、それをどのように乗り越えていくのか、
それを探求していきたいです。
ウェルビーイングの実態とは、言うまでもなく、上がりも下がりもするものでしょう。
そういう動的・生成的なものを自分のものにするとは、いったいどういうことなのか?
そういう視点でウェルビーイングの研究を続けていきたいと思っています。
②全社員向け「マイパーパス探求対話会」
ウィルグループではWHOのウェルビーイングの定義を参考に様々な取り組みを重ねています。
2019年からは特に「社会的に良好」=「身近な人間関係が良好であること」に注力してきましたが、
2024年からは「精神的に良好」=「パーパス(志)を持って生き、働くこと」に注力し始めました。
その取り組みが「マイパーパス探求対話会」です。
1回2時間、全6回(1回/月)で取り組みます。
パーパス探求のための方法はいろいろとあると思いますが、
私たちはパーパスを次のものと定義し、探求を深めています。
ポイントは、「願い」と「意志」を切り分けて考えるということです。
実際、別々の回で扱い、まずは「願い」の解像度を上げることに徹します。
意志は重要です。
が、早々に意志を求められると、私たちは今の自分がやれそうな現実的範囲で物事を考え始め、
自分や未来に対する大風呂敷を広げられなくなるのかもしれません。
そうなると、いかにもお行儀のいい志(というか、少しばかり形を変えた「今」)にしか
出会えなくなってしまうのではないでしょうか?
だから、少々乱暴に言ってしまえば、今の段階では無責任でOK!
実際にそれをやるかどうか、背負うかどうかは、あとで吟味すればいい。
まずは自分や他者、組織や社会、世界や地球が「本当はこうだったらいいな」を出そう。
そういうスタンスで願いの解像度を上げていきます。
その手助けをする工夫として、自分の願いにできるだけ近い「画像」を
ウェブ上から集めてくるという方法を取り入れています。(第1回の事前課題)
願いを言語としてではなく画像として見ることで、
私たちは自分がいったい何をしたいのか、何を成したいのかを、どんな世界を見たいのか、
より強く、鮮やかに理解することができるからです。
そして、それが本当に自分の実現したいことや見たい世界ならば、ワクワクすることでしょう。
そのワクワクこそが、私たちの潜在能力や意志のありかなのではないでしょうか。
自分をワクワクさせるものが見えてきたとき、
「意志」を込めてパーパスを結晶化させていきます。(第2回目以降)
では、そのようなパーパス探求には価値や効果はあるのでしょうか?
事前事後の認識の変化をアンケートで確認するとともに
こちらでも「オックスフォード幸福度調査」を取り入れ
全6回の講座で参加者の幸福度(ウェルビーイング)が変化するのかも確認しました。
結果、
①パーパスの明確さ
②ウェルビーイング
③未来への希望
④人生を楽しむ気持ち
⑤オックスフォード幸福度調査
すべてにおいて参加者の内面にポジティブな変化が生まれていることが確認できました。
*①~④は、参加前を「4」として、参加後に感じる自身の変化を1~7段階で回答、
5→6→7の順で一層高まっていることを表します。
「マイパーパス探求対話会」は個々人のパーパス探求を主眼にしているものの、
その意義は広範囲にわたるという手応えを感じています。
また、「対話」というかたちでパーパスを探求することは大変有意義だと感じています。
パーパスとは、個人の所有物ですから、自分でじっくり考えればいいのかもしれません。
しかし、対話を通じて他者のパーパス生成のプロセスを見ることは、自分のためになります。
「そうそう、それが言いたかったんだよ」とか、「刺激されるわー」とか、
対話を共にする人の考え、体験、夢想などなど、すべてがお互いのためになるのです。
今後は、すでにスモールスタートを切り、好感触を得ているのですが、
「チームパーパス探求対話会」によって「チームパーパス」を策定し、
それと「マイパーパス」を重ねていくプログラムを広げていきたいと考えています。
③「ウェルビーイング・コーチング」【企画奮闘中】
最後は、これから形にしていこうと奮闘しているものです。
昨年、ウィルグループ限定公開の新しい電子書籍
『挑戦・成長・ウェルビーイングをともに実現する ウェルビーイング・コーチング』
という本を書きました。
先に書いた4冊は「私」「夫婦」「家族」「仲間」といった
半径5メートルのウェルビーイングを願いながら書いたものですが、
こちらはその外側にいる「顧客」のウェルビーイングに焦点を当て、
私たちは何ができるかを思い巡らせながら書いたものです。
(「私」「夫婦」「家族」「仲間」のウェルビーイングにも有意義だと思います。)
<※社内限定公開書籍の帯ということで、フランクな口調はご愛嬌、ということでお願いします(笑)>
「ウェルビーイング・コーチング」を習得すると私たちはどうなるのでしょうか?
個別最適なコミュニケーションによる伴走で他者の可能性に寄り添い、
最適な選択への気づきを提供することができるようになるでしょう。
もう少し具体的に考えてみましょう。
社内にはどんな価値が生まれるでしょうか?
社員同士がお互いに働きがいとウェルビーイングを高め合う組織カルチャーへと
アップデートしていくことができるでしょう。
社会にはどんな価値をもたらせるでしょうか?
私たちの主事業である人材ビジネスにおいて、派遣スタッフや専門職社員、技術社員の
働きがいとウェルビーイングを高め、彼らのパフォーマンス向上に貢献、
その結果としてクライアント企業の成長に寄与することができるでしょう。
私たちが掲げる「キャリアパスの最大化と最適化」の有効な手段にもなるはずです。
つまり、社内外において、ウィルグループが保有する重要な人的資本の価値向上と、
それによるウィルグループの企業価値向上を実現することができるのです。
と、言い切っていますが、、、「ウェルビーイング・コーチング」の学習を起点に
私はそういうストーリーを描いているのです。
ウィルグループという舞台、そして私を前に進ませてきた2冊
ウィルグループという監督と舞台あっての私の活動なのですが、
私を前に進ませてきた2冊の本を無視することはできません。
最後にそれを振り返りながら、こちらの記事を終えたいと思います。
1冊目は、2006年1月に読んだこちら。
『最高のリーダー、マネージャーがいつも考えているたったひとつのこと』(マーカス・バッキンガム著)
就職活動の帰り道、駅中の小さな本屋で買ったことを覚えています。
リーダーシップやマネジメントについての名著だと私は思いますが、
どういうわけか心惹かれたのは冒頭数ページ目に登場する
「ポジティブ心理学」という得体のしれない心理学でした。
引き寄せられるように独学を始めた私は、この心理学が目指す世界観、
「ポジティブ心理学は人々・社会・世界のウェルビーイングを目指している」
この考えに共鳴し、いつかはその一翼を担えたらと考えるようなりました。
ウィルグループでのとっかかりを探していた私は、
2014年4月、初めて「ウェルビーイング」という言葉を盛り込んだ提案書を
現会長 池田宛に提出しました。
しかし、当時の私にとっては他人から借りた浅い知識と理屈だったため、
進んで「温存」という選択肢を選びます。
2冊目は、2012年7月に読んだこちら。
『ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』(リンダ・グラットン著)
こちらの259~261ページには次のような予測が書かれています。
バーチャル化が進む世界では、日々の生活の道案内を得て、自信を持って働き、多忙を極めるスケジュールを乗り切るための支援が重要になる。コーチングやケアなどの分野の専門技能の価値がますます高まるだろう。(中略)2025年の世界では、人々はモノを大量消費することより、充実した体験を味わうことを重んじるようになる。その究極の形態として、一人ひとりのためにオーダーメイドで準備された経験を欲する人が増えるのだ。
そんな時代が来るのか~、と思った私ですが、よくわからない直感が働き、
コーチング学ぶか!と思い立ち、2012年10月からCTIジャパンで学び始めます。
2年後の2014年10月には、ライセンス(CPCC)もいただきました。
ときは経ち、2025年現在。
たしかにそういう時代を私たちは生きているのでは、と思います。
ちなみに、CTIジャパンが伝え広める「コーアクティブコーチング」は、
ウェルビーイングととても相性がいいのではないでしょうか。
コーチングを学ぶプロセスと、それを提供する経験を通じて、
私自身の人生が以前よりもウェルビーイングに変わった実感があります。
これら2冊に人生を後押しされて、私の今の役割や信念があります。
それぞれを経験しているときは、その先にどういう未来があるのかよくわかりません。
しかし、人生で起こることに無意味なことはなく、
いつかどこかでそれらが出会い、結びつき、結晶化していくように思います。
人生に起こること、すべてがウェルビーイングを育てていく糧なのだと思います。
そういう気持ちで、これから先もこの旅を進めていきたいと思います。
この記事を書いたレポーター
