【人開SMILE vol.5】ウィルグループはwell-beingについて、どんなことをやっているのか?
- 今回の「人開スマイル」の投稿は、久米島在住、ウィルグループにwell-beingの知恵とコーチングを普及している鳥谷部が担当、ウィルグループで行っているwell-beingワークショップを紹介していきます。
国会でもwell-beingを連発
2020年11月5日、参議院予算委員会で上野通子議員がおっしゃっていました。
「成長戦略で生産性やマーケットシェアの向上を目指すことも大切だが、
成長戦略の究極の目的は生活の質の改善=well-beingの実現である。」
そして上野議員から各大臣にwell-being実現に向けた取り組みについて質問が繰り返されました。
最後は菅総理大臣もwell-beingの実現に向けた国を挙げての取り組みの重要性をお話しされました。
(上記リンク先、YouTube動画の7時間31分~7時間58分がwell-beingについてです)
国会でも連発されるようになったwell-being。
これが嬉しいのは、ウィルグループといういち民間企業が願う未来と、
日本国の方向性が重なり始めたということです。
ウィルグループとwell-being
前回の投稿では、人や社会のより一層のwell-beingを実現することをビジョンに掲げたウィルグループが、
取り組みのひとつとして幸福度診断「Well-Being Circle」を活用していることをレポートしました。
今回の投稿では、以下の2つのことを整理したいと思います。
・なぜ、ウィルグループはwell-beingを掲げるのか?その源流とは何か?
・ウィルグループはwell-being実現に向けて、社内でどんなワークショップをしているのか?
- 会社が大きくなり、“企業理念”が必要になった。その時、なんとなく読んでいたセリグマンの「ポジティブ心理学」という本に、大体、こんなことが書いてあった。
「ポジティブ心理学」の考え方に強く共感した会長は企業理念に「ポジティブ」という言葉を採用。
そして「個と組織をポジティブに変革する」というミッション(企業理念)が誕生しました。
つまり、ウィルグループのミッションはポジティブ心理学の影響から誕生しているのです。
私たちにとってのポジティブとはwell-beingのことである、と定まるとき
ミッション誕生以来、私たちは「ポジティブに変革する」という言葉を特別大切にしてきました。
しかし、それだけ想いのある言葉でありながら、それを明確に定義することなく歩んできました。
定義せずとも、ひとりひとりが「ポジティブに 変革する」を主体的に解釈し、サービスを届け、
お客様に選ばれ、大きく成長してこられたことは、我々の素晴らしさであり、強みだと思います。
しかし、そんな私たちがより一層ポジティブな未来を創るためにも、
私たちは改めて 「ポジティブ心理学」という自分たちの原点に立ち返ったのです。
それをより深める出来事が 2018 年 7 月に起こりました。
同月、セリグマン博士が来日、そして博士と直接コミュニケーシ ョンをとらせていただくことで、
私たちは自分たちの想いに気がつきます。
- ポジティブ心理学が目指していることを一言で表現するならば、well-beingな個人、社会、世界の実現なのです。
経営幹部陣の腹に、博士のこの言葉がストンと落ちたのです。
私たちが「ポジティ ブに変革する」という言葉を掲げながら、
事業という手段を通じてこれから実現していきたいことも、well-beingな世界を創ることなのだと。
well-beingを自分たちごとにした瞬間、
自分たちの大切にするミッションの解釈がアップデートした瞬間だったのです。
ウィルグループはwell-being実現に向けて、社内でどんなワークショップをしているのか?
セリグマン博士のポジティブ心理学をミッションの源流に持つウィルグループだからこそ、
セリグマン博士のwell-being理論をベースにしてワークショップを行っています。
セリグマン博士のwell-being理論は、(究極的な真理ではないのだろうと思っていますが、)
well-beingという概念を大づかみにせず、その構成要素を把握する形になっています。
これは私たちがwell-beingというものがどういうものかを構造的に理解し、
人生を通じて何にフォーカスして生きるとよいのかを示している優れた案内のひとつだと思っています。
ウィルグループで行っているwell-beingワークショップは、この構成要素をフレームにして、
ポジティブ心理学の学術成果を中心に(それのみではなく)、学び合うものとしています。
セリグマン博士のwell-being理論「PERMA」とは?
セリグマン博士はwell-beingを構成する要素を「PERMA」だと考えています。
これは以下の5つのキーワードの頭文字をとったものです。
セリグマン博士はそのようには表記していないのですが、、、
僕はwell-beingを、光や希望や幸せ、また究極の目的の象徴である「星」として表現しています。
そして、星を成り立たせる5つの角にPERMAそれぞれを配置。
こう表現すると「well-beingという星を目指そう」というときに、
その星を星であらしめている5つの大切なこと「PERMA」と共にい続けられると思うからです。
セリグマン博士は、
・well-beingはPERMAという5つの構成要素によって実現する。
・well-beingの実現のためには、PERMAの「どれか」ではなく「すべて」が重要である。
・しかし、個人の価値観によって、それらの重要度は変わってくる。
というようなことを教えてくれます。
ところで、僕がwell-beingとPERMAの関係を星で表現するのには、もうひとつ理由があります。
上に掲載した星をこんなかたちで表現しなおすと、
ひとつの角は、ほかの4つの角とつながっていることがわかります。
そして僕は、この「つながっている」という気づきを、とても大切なものと考えているのです。
たとえば、「達成を追い求めるあまり(A↑)、人間関係が破綻し(R↓)、空虚感を味わっている(P↓)」
というような話はどこか他人事ではないような気がするのです。
逆に、「人間関係の質(R↑)が、日々の活動の質(E↑)に影響している」というような話も
実際に感じていることなのではないかと思うのです。
「目的が定まったら(M&P↑)、がぜんエネルギーがわいてきた(E↑)」
こんなこともあると思うのです。
つまり、well-beingを実現するとは、P・E・R・M・Aそれぞれの独立した柱を築き上げることではなく、
相互の有機的な影響関係を視野に入れながら、自分のwell-beingを考える続けることなのだと思います。
また、「つながっている」ということは、起点・入口がどこかを考える機会にもなります。
ある人は、「何よりも人間関係(R)が私のwell-beingの入口です」といいます。
鳥谷部は、目的(M&P)が入口となり、没頭のレベル(E)に影響していることを感じます。
これがわかるだけで、自分にとって大切なものを大切にする(ことを意識する)生き方へ変わります。
ウィルグループで行っているwell-beingワークショップの「PERMA」を理解するステージは、
一般的なPERMAについての理解を深めながらも、
自らのwell-beingの入口は何か、そしてその後のつながりを考え、
お互いに分かち合うものとして行っています。
分かち合った者同士からはこのような感想が聞こえます。
「自分のwell-beingの入口と他者のそれは違うことがわかった。
以前は、自分の幸せの入口を押し付けるようなかかわりをしていたかもしれない。
私たちがwell-beingを実現していくには、お互いの入口を邪魔してふさがないこと、
そのためにはお互いに入口を知る必要があることがよくわかった。」
PERMAの何がレバレッジになるのか?
本当であれば、P・E・R・M・Aそれぞれの支えになることを学ぶワークショップをやりたいのですが、
時間も限られているので「PERMAの何がwell-beingのレバレッジになる(可能性がある)のか?」を考え、
ワークショップを組み立てています。
そこで、ウィルグループが(鳥谷部が)レバレッジになると考えているのは、
「R」と「M」、つまりRelationshipとMeaning & Purposeです。
まず、「R」にフォーカスする理由ですが、研究を広く見渡すことで、
僕はwell-beingの中核は「R」であーると考えています。
・他者は重要である。(クリストファー・ピーターソン)
・75 年の追跡調査から、人とのよいつながりを持つ人は幸せで健康で長生きする。(ロバート・ウォールディンガー)
・社会的な関係は金銭などよりはるかに強力な幸福度の指標である。(ダニエル・ギル バート)
私たちも、夫婦や親子関係、職場における人間関係が、自分の力にもなる一方、
力をそぐものにもなることを日々経験しているでしょう。
これらゆえに、まず「R」にフォーカスしています。
また、「M」についてフォーカスする理由は、ポジティブ心理学の「フロー理論」に依拠しています。
フローとは没頭状態のことを言いますが、PERMAのなかでは「E」に含まれます。
没頭しているゆえに結果として達成や成長「A」が生み出されやすい状態でもあります。
しかし、フロー「E」は意図して入れるものではなく、いくつかの条件が重なった結果として訪れます。
その条件の一つが、明確な目的意識、つまり「M」の存在なのです。
つまり、フローを経験するためには「M」が存在し、明確である必要があります。
整理すると、「M」が「E」のきっかけになり、結果として「A」 に至っていく。
この「つながり」を見る(期待する)ゆえに、「M」にフォーカスしています。
「Relationship」パートでは何をやっているのか?
このパートは次のようなクイズから始めています。
「人間関係」には大きく2つあります。
一方は見過ごされがちです。
それはどんな「人間関係」でしょうか?
多くの場合、まず想起する人間関係とは、他者との関係のことだと思いますが、
それ以前に大切なのは、「自分との関係」ではないでしょうか。
自分が自分とどのように付き合う習慣をもっているのか、これは見過ごされがちですが、
あらゆることの基礎に、そして結果そのものになっていると考えています。
ゆえに、「Relationship」パートでは、まず、自分との付き合い方を示します。
具体的には、
・強みを活用すること
・消耗と回復のバランスをとること(休息を大切にすること)
・マインドフルネスとセルフコンパッション
このあたりが主題になります。
(※コロナ時代には、これらを含みながらも、「レジリエンス」を主題に変更しています)
そしていよいよ、他者との人間関係へと入ります。
ここで学んでいることは、行い方(Doing)よりも在り方(Being)の重要性です。
私たちは、「どうやれば人間関係をよくできるか?」という行い方(Doing)にばかり意識が向かいます。
しかし、本当に大切なのは、その他者の前でどのような在り方でいるのか(Being)でしょう。
言葉では相手をねぎらっていても(Doing)、醸し出している存在感が批判的であれば(Being)、
後者が真実として相手には届いていくはずです。
思いを伝えることに不器用でも(Doing)、真に相手を信頼し愛を持っていれば(Being)、
後者がその人の人柄として映るでしょう。
このあたりは、僕の専門であるコーチングの知恵やスキルをベースにしながら組み立て、
それぞれのRelaitionshipがよりよいものになっていくための考え方を学んでいます。
「Meaning & Purpose」パートでは何をやっているのか?
このパートでは、「ジョブクラフティング」というワークに取り組んでいます。
「自分の仕事を意義深いものに再定義すること」を目指します。
言い換えれば、いつもの仕事の中に「新しさ」を発見することで、
これまでよりも意義や目的意識を感じながら仕事を行えるようになることを目指します。
研究によれば、自分のやっている仕事を、意識的にも無自覚にも、どのように定義しているかは、
その仕事に向き合う動機や仕事への工夫、そして喜びまでも大きく変えることが分かっているからです。
ジョブクラフティングにはさまざまな方法がありますが、
ウィルグループでは以下の3点を考えることで進めます。
・自分の強みを仕事にどう活かせるか?
・自分はどのようなことに情熱沸き立つのか?
・自分は他者や世界にどのように貢献したいと願っているのか?
そして、そういう自分をより一層活かせていと実感できるような、この仕事の新しい見方は何か?
これを考えます。
僕は、人材開発部で教育という仕事を始めたとき、そしてしばらくの間、自分の仕事は、
「このグループの成長に必要な知識を社員に教え広めること」と考えていました。
しかし、僕も成長しますし、会社も成長します。
かつて自分を動機づけていた考え方がもはや自分に力を与えなくなることを経験しました。
そのようなときに、繰り返し繰り返し、ジョブクラフティングをしました。
そして今は、上記3点の自己認識をもって、自分の仕事を次のように表現します。
「私の仕事は、自分が学んだ知恵や知識を、仲間の人生が豊かに幸せになるために、表現することです」
これが僕の仕事の意義であり、目的なのです。
自分の仕事をこのようなものだと考えることが、僕に「E」を、そして「A」を経験させてくれます。
人材開発部は未来を創る
このようなワークショップを、beforeコロナ時代は集合型で8時間かけて、
withコロナ時代はオンラインで4時間かけて、全国で実施してきました。
のべ参加人数は1000人ほどになります。
もちろん、現在も進行中です。
1000人とともにワークショップをやってきて感じることは、
個人においても社会においても、well-beingを目指すとは、
自分が生きているうちにその成果を見られない壮大な仕事なのかもしれない、
ということです。
もしそうであっても、べつにいいな、と僕は思います。
自分たちの世代に始まった人類にとって何が本当によい生き方なのかを考えるこの動きが、
それを始めた私たちの世代で失速・失望することなく、確実に未来へ引き継がれていくことが、
人類にとって大切なことだと思うからです。
子供たちは私たち親世代よりもwell-beingに、未来の社会は今の社会よりもwell-beingに、
それが実現する生き方をできるだけ積み重ねていくことが、
今を生きている私たちに求められている、大切なことなんだと思います。
well-beingワークショップを全国で行うに並行して行ってきた「コーチング研修」。
これには私たちのwell-beingを変えるヒントがあるような気がしています。
コーチングを本腰入れて学んだ人はwell-beingの変化を実感し、
コーチングを継続して受けている人もwell-beingの変化を実感しているからです。
未来に向けて、ウィルグループ人材開発部のwell-beingにまつわるチャレンジは、これからも続きます。