Well-being質問箱①:感情のwell-being
はじめに
みささん、お疲れ様です。
WIL 人材開発部 ガンターです。
ウィルグループ社員のWell-beingを目的に「Well-being質問箱」という新しい企画を始めました。
みなさんがWell-beingについてより親しみ、Well-beingを実現していただけるよう、Well-beingの研究を進める私ガンターから回答させていただくという企画ですが、質問を募集してみたところ、なんと150名から質問をいただきました。
本当にみなさん、ありがとうございます。
一つ一つをしっかりと読ませていただきました。
すると、150の質問の中から、同じものや似たものも多く見受けられたので、カテゴリーに分類してみました。
するとカテゴリーは以下の10個になりました。
1)感情のウェルビーイングの基礎(13問)
2)ネガティブ感情からの回復(38問)
3)感情のコントロール(20問)
4)ポジティブの増やし方(15問)
5)仕事に関する質問(10問)
6)モチベーション(5問)(Spiritual Well-beingの範囲に入ると判断した質問が多かったので、今後展開するそちらの記事で回答させていただきます。)
7)他人のサポート(9問)
8)ストレス対処法(6問)
9)事例・実例(4問)
10)その他(32問)
本来であれば、個別で回答をお届けしなければならないと思いますが、150もある質問に個別に回答することは簡単ではないと考えました。
そこで、たいへん恐縮ではありますが、各カテゴリーにおける代表質問を紹介しながら、みなさんのご質問についてご回答し、何かお役に立てることをお届けできればなというふうに思います。
1)感情のウェルビーイングの基礎
まずは、感情のウェルビーイングの基礎です。
「何事においても前向きに捉えるポジティブシンキングはwell-beingの実現に効果的ですか?」
という質問を匿名でいただきました。
感情の起源を説明するような心理学的説がいくつかあります。
アメリカ心理学会(APA)によると、感情とはある個人が意識する刺激による短期間で終わる反応パターンのことです。
感情は経験と行動と身体に影響します。
次の質問は、「ウェルビーイングの文脈でいうポジティブな感情とネガティブな感情の定義を詳しく知りたいです。」
ポジティブ感情とは、気持ちいい刺激を受けるときにおこる体の反応です。
「いいな」「楽しいな」と思うと、体の中で様々な変化、例えばホルモンの分泌や心拍数の変化が無意識に瞬時におこるわけです。
ネガティブ感情は、嫌な気持ちになるときにおこります。
ですから、ネガティブとポジティブを分けて定義づけるとしたら、「体にどういう影響を与えるか」が基準になるかもしれません。
そして、みんながそれぞれの感情のベースラインを持ち、感情の起伏が激しいというよりも、自分の感情のベースラインに目を向けた方がいいのではないかと思います。
実は、心理学的に感情がどれくらいポジティブかネガティブかを測定するための「PANAS」というアンケートがあります。
ポジティブ感情因子10項目, ネガティブ感情因子10項目に対し、現在の気分を6件法で評定するというアンケートです。
実際にポジティブとネガティブの基準を理解するには調べるといいかもしれません。
次は、スコッティ・キャメロン・スミスさんらからいただきました「Emotional Well-beingが『高い』状態がどうゆう状態なのかをもう少しかみ砕いて理解したいです。」という質問です。
ポジティブシンキングはいつまでも効果的あというと、実はちょっと違います。
幸せを追い求めると、逆に不幸になるという研究があるので、幸せであるかどうかということに悩むよりも、ポジティブな経験、うれしい経験を楽しんだほうがいいだろうと思うし、ついてない日は誰にでもあるものなので、そういう日があったらEmotional WBが低いというわけではありません。
ネガティブから回復することができるというスキルがまさにEmotional WBだろうという風に思います。
ですので、感情のウェルビーイングが高いというのは、自分の周りに起こっているいいことと周りの人への感謝が増すだけではなく、嫌なことがあっても気にしなくなるという状態です。
失敗や間違いから学べるようになり、人生の波を上手に乗りこなし成功できるようになるでしょう(例えば、先に上長の鳥谷部さんに書かれた田中部長の話をご参照ください)。
次の質問は「ウェルビーイングの内容や、取り組み、また社内の配信に宗教的なものを感じ、魅力を感じません。どうしたら、魅力を感じれますでしょうか?」です。
ウェルビーイングやウェルビーイング関連の話に魅力を感じていないのは、自分が無理をして魅力を感じようとしているのかもしれないからと、この質問を読んで思いました。
ウェルビーイングというのは、あくまで自分自身が経験するものなので、今までのウェルビーイングの提供が○○さんに合わなかったかもしれません。
ウェルビーイングに関するコンテンツのすべてを受け入れる必要は全くありませんし、いろいろ試す中で自分に役に立つものだけをピックアップしても問題ありません。
思い切ってウェルビーイングを高めようというよりも、自分の無理のない範囲で物事を始めたらいかがでしょうか。
2)ネガティブ感情からの回復
南匠さんや横田桂樹さんからは「ネガティブな感情を減らす方法はどんなものがありますか?」という質問をいただきました。
ネガティブから回復するために「考え方・視点を変える」というテクニックがります。
自分のネガティブな出来事に対する考え方を変えられるようになると、ネガティブから回復する力が増すだろうと思います。
嫌なことが起こった際に自分の感情を書き出して整理して、その出来事をまたポジティブな観点から見てみると、だんだんプラスな面が見えるようになってくるでしょう。
ですので、ネガティブな感情を否定せず、その感情を感じてポジティブをピックアップすることをお勧めします。
つまり、サイクルとしては、ネガティブな出来事が起こる→ネガティブな感情に気づく→ネガティブ感情を書き出す・誰かに相談する→状況を再評価する→ポジティブなところを考えるというようになります。
そして、「自己肯定感を高めたいのですが、長年の思考の癖から抜け出せずなかなか前向きになれません。周囲の人と比べてしまう癖から解放されたいです!」という質問もありました。
自己肯定感を上げるために一番大切なのは、「認知の歪み」に気づき、それを変えることです。
私たちには「認知の歪み」があります。
例えば、小さなミスをしてしまったときに「自分って駄目な人なんだ」と落ち込む人は認知が歪んでいるといえます。
認知が極端に誇張されるのです。
そういう認知の歪みを解決するには、そういう傾向にあることに気づいたうえで、間違った思考を正すよう、「認知療法」というのをしてみましょう。
認知療法というのは、ネガティブ思考になったときに、ネガティブになった「状況」、自分の「思考」、その思考パターンが当てはまる「認知の歪み(以下に書いてあります)」、客観的に考えを見つめ直す「合理的反応」を書き出すというプロセスです。
すると、ネガティブ思考になっても考え方を直すことができるようになり、思考の歪みを修正することによって自己肯定感が高まるでしょう。
ご興味があれば、ぜひ詳しく調べてください。
認知の歪み:
- 全か無かの思考
- すべき思考
- 一般化のし過ぎ
- マイナス思考
- 心のフィルター
- レッテル貼り
- 結論への飛躍
- 感情に基づいた決めつけ
- 過小評価
- 個人化
3)感情のコントロール
次は、山田 泰之さん、廣澤 俊弥さんらにいただきました「苛立ちを抑えるのに最適な方法を教えてください。」という質問です。
タル・ベン・シャハー博士によると、憤りや苛立ちや怒りなどの感情をコントロールするには、誰かに話したり相談したり、感情を書き出したりするという方法があります。
4)ポジティブの増やし方
次は、柴田真希さんにいただきました「感情のwell-beingを高めるために、良い行動や習慣があれば教えていただきたいです。」という質問です。
様々な方法がありますが、今回は「自分への感情をポジティブにする」という観点と「自分の周りへの感情をポジティブに変える」という二つの観点から考えてみたいです。
「自分への感情をポジティブにする」には、アファメーションという方法があります。
アファメーションとは、自分にポジティブな言葉をかけるというような行為です。
例えば、「私は○○が上手」「今日の仕事はきっとうまくいく」などというような言葉を言い聞かせてたりします。
そうすると、自分に対する気持ちがだんだんとよりポジティブになるはずです。
また、「自分の周りへの感情をポジティブに変える」には、感謝を伝えることが大事になってきます。
感謝を言葉や文書などという形で表現してみると、自分がどれだけ恵まれているかがわかるようになります。
感謝の気持ちを感じる瞬間が増えていくだろうと思いますので、「感謝」から始めることもおすすめです。
ポジティブ心理学が推奨する具体的なアクションとして、Three Good Thingsというワークをおススメします。
Three Good Things(TGT)とは?
TGTはThree Good Things「3のいいこと」の略です。
今日経験した3つのいいことを寝る前に書き出すというワークです。
次は、YOさんや落合克弥にいただきました「ポジティブ思考を常に一定レベルに保つにはどうすれば良いでしょうか?」という質問です。
ポジティブを保つために、「ポジティブを増やす方法の継続」と「ネガティブになった時に自分を責めない」という二つが必要だと思います。
TGTなどを1~2回やっても効果が出ないと思いますので、長期的にやることをおススメします。
まさに継続は力なり。
また、誰でもネガティブになってしまったり、怒ってしまったりするときがあります。
そのようなときに大切なのは、ネガティブになってしまった時に自分を責めないことです。
責めることでますますネガティブな感情が蓄積されていきます。
かわりに、ポジティブ感情を増やしましょう。
7)他人のサポート
次は、勝原 学洋さん、あんそにーさん、Floridaさんらにいただきました「周りにネガティブな方がいるのですが、どうやったらポジティブにできるのでしょうか?」という質問です。
誰かをポジティブに変えようとする前に、誰もがネガティブな気持ちを持ちうるし経験しているという理解に立つことが大切だと思います。
タル・ベン・シャハー博士は、ネガティブを感じない人は死人かサイコパスだけだと言います。
ネガティブを否定する前に、それを受容することが、本当に人の成長や変容を支援することにつながります。
ポジティブ一色の職場は、ネガティブな気持ちを持っている人にとっては居心地がよくないかもしれません。
その居心地の悪さがネガティブなものとして表現されると、なおさら「あの人はネガティブだ」という評価が強くなっていきます。
だからこそ、上司自身が自分の弱みをたまに見せたり、他のメンバーに助けてもらっていいよと声をかけたり、わからないときに「わからない」といってサポートを求めてもいいよ、というような「弱さを互いに受容する」カルチャーを努めて育てていくことでが大切です。
その結果、ネガティブな人も言動を変えることになるのではないかと想像します。
8)ストレス対処法
次は柏木佑香さんにいただきました「不安やプレッシャーは、上手く付き合えたらエネルギー源です。発想の転換は人それぞれだと思いますので、皆さんがどう乗り越えてきたのかをシェア出来たら、みんなのEmotional Well-beingに繋がると思います。」という質問です。
柏木さんのおっしゃる通り、ストレスは必ずしも悪いというわけではありませんが、適度を超えたら、ウェルビーイング全体に影響を与えかねませんので、ストレス解消が大事です。
一番の対処法は、大変難しいことではあると思うのですが、ストレスを感じた後にしっかりと休んで回復することです。
毎日1~2時間ごとに5分ほどの休憩時間を取ってもいいし、必要な時にもっと長い時間休んでもいいと思います。
体に気を付けることも大事だといわれるので、運動することもお勧めです。
Physical Well-beingについての動画で詳しく体とストレスの関係についてお話ししましたので、気になる方はぜひご覧ください。(ビデオスペース参照)
また、ストレスの原因もいろいろあります。
自分の考えや行動が原因だというストレスと他人が原因だというストレス、そういう2つの種類のストレスがあると考えられます。
ストレスの種類によって対処法が違います。
自分しかコントロールできないので、自分の考えや行動が原因だというストレスは自分で解決しても周りの人が原因だというストレスは避けられない場ときもくるでしょう。
ですので、自分がコントールできるストレスをできるだけ軽減することをお勧めします。
例えば、私の場合は、主なストレスの原因が自分が物事を後回しにすることです。そういうストレスは、時間管理とかに気を付けることで減らすことができます。自分でコントロールできるストレスの原因をできるだけなくします。そうすれば、他のストレスがあってもストレスのレベルをある程度抑えられます。
9)事例・実例
そして最後に、北嶋希望さんらにいただきました「well beingが高い日本の会社を知りたいです。その会社はどうして、高いのか取り組み理由も知りたいです。」
日本や世界の会社のウェルビーイングランキングなどはありませんが、「働きがいのある会社」ランキングというのがあります。
そのランキングによれば、シスコシステムズが1位とセールスフォースが2位になりました。
具体的にどういう取り組みをしているかというと、セールスフォースは会社ビルに瞑想できる「マインドフルゾーン」を設置し、社員に睡眠の質を上げるためのアプリを提供し、正社員フレックス休暇制度(許可を得た場合、休暇が自由にとれる)を設定しました。
おわりに
ということで、well-being質問箱の第1弾でした。いかかでしたでしょうか。
回答についてのご感想・ご意見・フィードバックをいただけますと大変うれしく思います。
つぎのRelational well-being(人間関係のwell-being)の記事でお会いしましょう。