2020.05.11

2020年新卒に贈る「レジリエンス講座①」~暗黒の新卒時代だったが今は最高だ~

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鳥谷部大樹  2020年3月、住み慣れた東京から家族5人で沖縄県久米島に移住しました。サトウキビとパイナップル畑、バナナの木に囲まれた自宅オフィスから、well-being(幸せ)についての研究とワークショップ、幹部向けパーソナルコーチング、コーチングトレーニングをしています。

2020年新卒に贈る「レジリエンス講座」

2012年~2018年まで新卒の研修を担当してきました。

先日久しぶりに「レジリエンス」というテーマで2020年新卒にオンラインセミナーを行わせてもらいました。

新卒向けに「レジリンエス」というテーマで僕が研修を始めたのは2014年の頃。

自分自身の暗黒の新卒時代を振り返って、少しでも新卒の役に立てば、と考える自分が「レジリエンス研修」を

当時スタートさせていたことを思い出します。

今は新卒の直接の研修担当を離れていますが、「少しでも新卒の役に立てば」という思いは変わりません。

今回から何回かにわたって、社内報版「2020年新卒に贈るレジリエンス講座」をお届けします。

レジリエンス概論

そもそもレジリエンスとは

 

「逆境から自律して再起し、その機会からさらに成長する力」

 

と僕は定義しています。

失敗体験は、程度の差こそあれ、私たちにネガティブな気持ちを抱かせます。

強くなるネガティブな気持ちにどこかで歯止めをかけ、再起・成長できる人が「レジリエンスが強い人」。

そんな人を目指すための研修が「レジリエンス研修」です。

 

しかし、大切な前提は、必ずしもネガティブ感情を悪者扱いして否定しているのではないということです。

そもそも人生とはアップダウンの連続体です。

人間とはネガティブ感情があるから幸せを感じられる生き物です。

ネガティブ感情を当たり前のものとして受け入れていることが人間らしく生きるということです。

 

ただし、ネガティブ感情を野放しにしておくと私たちは無力感に支配され

持ち前の力を発揮できずに生きることになるかもしれません。

これを学習性無力感に襲われた人生などと言います。

その意味においては、ネガティブ感情を何とかする術を持っていることは

私たちの人生にきっと役に立つはずなのです。

 

今回は「レジリエンス研修」の原点にある、僕の新卒時代について少し物語をさせていただきます。

今となっては昔のことですが、

2007年5月、僕の生きている世界は白黒でした。

 

入社して新規営業に悪戦苦闘していた僕の戦績はというと、

 

・アポ率が1%(100件電話したら1件アポイントもらえるよね)で計画されているところ 

 3000件電話をかけてもアポイントがゼロ、創業史上見たことのない実績だと驚かれ 

・上司はもとより、先に成果を積む同期からもなぜオマエは成果を出せないのかという

 「お説教」を深夜の喫煙所で繰り返され 

・最下位を競っていた同期が初アポイントをとったときには本当に鼻血があふれ、 

・念願の初アポイントを記したシートも「教えた通りの取り方をしなかった」という理由で

 上司にくちゃくちゃに丸められてゴミ箱に捨てられ 

・今度はアポイントをゴミ箱から拾いなおし上司に持っていくという奇妙な営業活動をしている 

 

僕はそんな新卒時代を過ごしていたのです。

 

今は笑って話しますが、「もし2億円もらっても当時には絶対戻らない」と僕は決めていますw

 

新卒時代とは、もちろん程度の差はあるでしょうが、

多くの新卒が似たような経験をしているのではないでしょうか?

みんなそれぞれの役割において、大変な思いをし、

社会で働くということに全力で心身を馴染ませているのだと思います。

 

新卒のみなさんは今、どんな困難のさなか、どんな気持ちでいるのでしょうか?

絶対に夢を忘れるな

毎日、白黒の世界を生き、血色の悪い表情で出社し続けていても、ありがたかったことは、

会社も今よりずっと小さい頃でしたから、トイレで役員と立ち話をしてもらうことも可能だったことです。

 

今でも鮮明に覚えているのは、トイレの出入口でグループ代表(現会長)と偶然会ったとき、

「どんなときも絶対に夢を忘れるなよ」という一言をかけてもらったことです。

 

ポジティブという言葉を掲げたグループの社員でいながらまったくポジティブではないときに、

そして最終面接で語った夢が大きな羽のようなものから何か重いものへと変わってしまっていたときに、

 

「どんなときも絶対に夢を忘れるなよ」 

 

まるで用意でもしていたかのようにその言葉を僕のもとにおいて去っていった会長は、

僕の人生の分岐点を作ってくださったのだと思います。

 

思うに、自分が苦しい時に自分を支えてくれるのは、親でも恋人でも過去の栄誉でもなく、 夢。

大切なのは、それを忘れないことなんだと思います。

 

新卒のみなさんは、どんな夢とともに社会人になったのでしょうか?

バラのように時間をかけて育つ人生

人生は面白いものだなあとつくづく思います。

 

長くなる物語の途中は端折りますが、

お先真っ暗な日々を生きていた僕でも自分の夢が何だったかを忘れずに生きていると、

人生は時間をかけてその方向に進んでいたことに気が付きます。

 

僕が2006年3月の最終面接で会長に語った夢は、そして途中見失ってしまった夢は、

 

①ウィルグループの中でポジティブ心理学に関するな何らかの活動を行う

②ポジティブ心理学の創始者であるセリグマン博士と何らかの活動を行う

 

つまりはポジティブ心理学をビジネスパーソンの実用レベルでどうにかしたかったのです。

(なぜ僕がポジティブ心理学にそこまで思い入れるのかはまた別の機会にでも)

 

①については、2014年に「レジリエンス研修」という形で(部分的に)スタート、

その後2016年から「チェンジエージェント研修」として体系化、

2019年からは「well-beingワークショップ」という形でアップデートされて今に至ります。

 

②につては、2018年、セリグマン博士来日の際にウィルグループに招聘、

ビジネスリーダー向けのセミナーを開催するに至りました。

2006年の夢物語も12年握り続ければこういう形になるのだということを経験させてもらいました。(左から池田会長、マーティン・セリグマン博士、鳥谷部)

どちらも多くの人のご理解とご協力があってこそこぎつけたものですが、人生とはまるでバラの花のよう、

今日明日では花をつけませんが、時間をかけてじっくりと育てることで咲いていくものなんだと思います。

 

新卒のみなさんが、今どんな状況であれ、少しの希望とともに生き直すことができれば、

きっとそれは小さくない差として人生に表れてくることと思います。

レジリエンスを生み出した悠長な戦略

僕自身どのように変化を生み出すことができたのか、整理すると次の3つにまとめられます。

 

①夢を握り続ける

②専門分野を追求し続ける

③長期的な展望で生きる

 

少しだけ補足すると、

 

①は、先述した通りです。

②は、何かを蓄積し続けることです。

蓄積されたものが専門性と呼べるもの、自分を支える力へと変わります。

僕の場合は、ポジティブ心理学とコーチングが自分の専門分野となりました。

③は、「今できないから一生できないわけではない、いずれ時は来る」という腹決めです。

 

今日明日で劇的に何かを変える方法ではありませんが(ちょっと悠長すぎる?)、

振り返ってみると人生の根底にこの意識があったから少なくても今の僕には到達できたのだと考えています。

 

とは言え、当時の僕は、「もっと即効性のあるハウツーはないの?」と言っていたでしょう。

苦しさの中では、蓄積だとか長期展望だとか言ってられないのです。

 

次回からは、学術的な根拠をベースにしてレジリエンスを「下降に抗うフェーズ」と

「上昇に尽力するフェーズ」の2つにわけてお伝えしたいと思います。

 

どちらもそれなりに時間を要するハウツーとなります。

それでも、僕自身の体験から「役に立つ」と確信をもって言えるものです。



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鳥谷部大樹 
2020年3月、住み慣れた東京から家族5人で沖縄県久米島に移住しました。サトウキビとパイナップル畑、バナナの木に囲まれた自宅オフィスから、well-being(幸せ)についての研究とワークショップ、幹部向けパーソナルコーチング、コーチングトレーニングをしています。

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